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西海岸労使交渉

米中貿易戦争影響が徐々に出始めている。

8月10日にロングビーチ港湾局が発表した7月どのコンテナ取り扱い実績統計によると
輸入は前年比マイナス8・2%の24万7736TEU, 輸出も前年比マイナス5%の11万9747TEU、空バン回送は2・6%増えて、22万975TEU,合計で688万457TEUでマイナス4・4%だった。

通年であれば7月はピークシーズンの始まりの月であり、米国のホリデーシーズン向けの貨物が急激に増加する時期である。事実昨年の同港の実績は同港の107年の歴史の中で最高の実績を残した月でもあった。

当然、この結果は米中貿易戦争の煽りを受けたとは確かだ。
ロサンゼルス港湾局のジーン・セルカ港湾局長は、このまま、米中間の高率関税の適用が続けば
ロサンゼルス、ロングビーチ港の取り扱いは15%〜20%減少すると予想する。

今週、ロサンゼルス港の取り扱い実績が発表される。その結果次第では、コンテナ取り扱い実績の減少が見られれば、全米1位、2位のコンテナ取り扱い港である両校の労使関係に影響がでることが危惧される。

西海岸の労使交渉はコンテナの着実な増加を前提に明年契約が終了する現行の労使協定を延長の方向で進めている。しかし、こうした高率関税の適用の結果、米中貿易戦争が長期化すれば、中国との取り扱いの多い西海岸のコンテナ取り扱いは減少する可能性が高い。両校の取り扱いの約7割は中国からのコンテナである。

コンテナの減少が経営側に合理化への圧力を加えるだけでなく、組合にとっても、職域減少という現実が突きつけられる。そうなれば、円満に進むと見られる西海岸の労使協定も思わぬ方向にいかぬとも限らない。

出口の見えない米中貿易戦争は西海岸の労使交渉にも不気味な影を落とす。

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西海岸労使交渉


2008年の西海岸の労使交渉は、若干の鍔迫り合いはあったが、2002年のロックアウトの
悲惨な経験から、互いに譲歩し、大きな障害もなく、締結した。

しかし、その締結内容にターミナルの自動化を進めるという条項があり、その文言の解釈が
2014年の労使交渉を予想以上に長引かせた。

経営側の描くターミナルの自動化は完全自動化である。ターミナルの中に人間が存在せず、
コンピューターと機械でターミナルの運営が全て行われることをイメージしていた。

一方、組合の側もある程度の自動化は受け入れることを覚悟していたが、
完全自動化となると組合員の仕事は全くなくなってしまう。

2014年交渉開始そうそう、両社の主張はかみあわず、互いの言い分を通そうとした。
経営側の言い分は2008年に自動化で合意を得ているといい、組合側は自動化の定義が
曖昧であると反発した。

2008年の労使の協定合意をうけ、いくつかのターミナルは自動化に舵を大きくきった。
ロングビーチではOOCLのロングビーチターミナルであり、ロサンゼルスでは、MOLのTRAPAC
ターミナルである。

両社は数年をかけ、ターミナルの中の一部を除き、ほど、全自動のターミナルを完成させた。
その機動性、機能性が組合を刺激した。本当に無人である。今まで、ギャングと言われる
港湾組合員がターミナルトラックを運転して、ガントリークレーンから降ろされるコンテナを
受取、ターミナルの別の場所に移動していた。

しかし、自動化ターミナルでは、’すべて機械がコンピューターにインプットされた指示をうけ、
的確にコンテナを動かしていく。


この自動化ターミナルが組合に衝撃を与えたといってよい。
本当に組合員の仕事がなくなる。これに危機感を感じた組合は激しく対抗するのである。
2014年の3月からスタートした交渉は期限のきれる6月時点では、まったく
妥協点が見いだせず、双方の主張を牽制するのみで、全くの進展が見られなかった。

2014年の労使交渉は泥沼の様相を呈するのである。






東海岸労使交渉


東海岸労使交渉が概ね合意に達した。

6月6日に行われた労使双方による話しあいにより、協議内容について概ね合意が得られ、
協定は2024年6年間延長される。

これにより危惧された組合側の強行な改善要求などは回避される見通しである。
今回の合意に至る経緯は不明だが、自動化の定義を双方が妥協したものと見られる。

パナマ運河の拡張やスエズ運河の利用で取り扱いが急増し、貨物量が増えたことも
双方には明るい材料である。

また、西海岸が来年の契約終了期限を前に延長の動きが東の延長を促したとも言える。

これで、当面、西東労使は通常のオペレーションに専念できる。

関係者に安堵感が広がっている。



懸念される内容としてはトランプ政権が打ち出し関税の利率を上げることでの貿易の停滞である。
労使交渉以上に厄介である。



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西海岸労使交渉



リーマンショックで打撃をうけたコンテナ船社は経営安定化にむけて、対応を始めた。

自動化に最初の舵を切ったのは、商船三井系のロサンゼルスコンテナターミルである
TRAPAC社である。

2009年にロサンゼルス港湾局と30年の長期リース契約を結び、敷地の拡張、
初となるオンドックレイルの敷設、そして、オペレーションの自動化を他に先駆けて
始めた。

ターミナルの自動化のデザインは三井造船が担当した。
ガントリークレーンのオペレーターを除いて、全てがコンピューターで管理され、
ターミナルの中心エリアは安全確保のため、無人となっている。

部外者が侵入しょうとすると全てのオペレーションが緊急停止する仕組みになっている。

リーマンショックのあおりで、コンテナ取り扱いが低迷するなかで、労使双方とも合理化、効率化が
声高に叫ばれ、一貫として自動化も議題にのぼった。

確かに自動化は労災の減少を促し、作業の効率化を高める。
しかし、それは、作業員の抑制という両刃の剣でもある。





西海岸労使交渉



2008年のリーマン・ショックが米国に与えた衝撃は計り知れない。

海運、港湾の限ってみても、その大きさが推し量れる。


2000年以降増加を続けていた西海岸の港湾の労働組合であるILWUは2008年を境にして、減少に転じた。
ピーク時に1万5000を超えた組合員も2014年には1万3000まで減少。

コンテナも既報のように、減少を続け、最大25%落ち込んだ減少をピーク時の2006年実績までに
回復させるのは、ほど10年の歳月が必要だった。

2017年にようやくリーマン・ショック前の実績に戻った。


この長いコンテナ取り扱い減少期間が、2008年に締結した労使協定の双方の考え方に微妙な
影を落としている。


経営側は経営の安定化のためには、ある程度の自動化をすすめるしかなく、一方、
組合側は減少する組合員を増やすと同時にその職域の確保が優先された。


2008年以降も毎年3〜6%の増加を見込んで作られた労使協定は現状にそぐわないものになってきている。

一刻も早い経営の安定化を図りたい船社、ターミナルは生き残りをかけ、大きく自動化に
舵をきるのである。





西海岸労使交渉






2008年の西海岸労使協定締結後におきた米証券大手リーマン・ブラザーズの破綻に端を発した
リーマン・ショックの衝撃は計り知れないものがあった。

サブプライムローンの影響で不動産の動きも鈍くなってきた矢先の出来事で
不動産業界にとってダブルパンチとなった。

不動産価格はみるみる下がり、資産価値が購入時の半値以下というところもザラであった。
不動産購買意欲の低下により、米国の輸入アイテムの筆頭である家具や寝具がうれなくなり、
コンテナの輸入は減少の一途を辿った。

既報のようにコンテナの取り扱いが大きく減少に転じ、前年比を大きく割り込んだ。
リーマン・ショックの翌年2009年、ロサンゼルスだけでも25%減少、ロングビーチも同様に
大きく影響を受けた。

2008年の労使協定では作業の増加に伴い人員の補強および増員を盛り込んでいたが、
逆に作業が減少したことで、余剰組合員が出る始末で、組合員総数も減少に転じた。

当然、船社にも影響がではじめ、アライアンスの再編のキッカケとなっていった。

西海岸労使交渉


2008年に労使間で締結した西海岸労使協定の最大の特徴は港湾の自動化を労使双方が認識し、
可能な範囲で自動化をすすめることで合意したことである。

その当時は、貨物の増加の一途を辿っており、自動化は時代の流れでもあった。
ただ、交渉過程においては、それがどれほど重要な案件であったかは、あまり認識されていなかった、もしくは意図的に認識するのを避けたともとれる。

それよりなにより、この2008年の労使交渉が締結した直後におきたリーマン・ショックの影響で
自動化を具体的に進めていける余裕がなかったともいえる。

米国の株価が大きく下落、資産価値が急激に減少。其の結果、購買意欲が急降下した。
不動産は売れず、サブプライムローンで不動産を購入したひとが支払いが滞り、泣く泣く家を手放して行く様子をテレビが紹介する場面が増えた。

ロングビーチからターミナル・アイランドにかかるジェラルド・デズモンド・ブリッジから見える
トヨタが所有する、自動車専用ターミナルンには、買い手のつかない車が何ヶ月もそのまま放置され埃を被っていた光景は忘れられない。

毎年1500万台の車が売れると言われる米国で翌年2009年は1000万台を割り込んだというのだから
その低迷ぶりがわかるというものだ。


ロサンゼルス港の取り扱いコンテナ実績数量を見ると、
2006年、過去最高の850万TEU
2007年は若干減って840万TEU
リーマンのおきた2008年は780万TEUとほぼ1割減少
2009年は更に減少して670万となり、2006年との比較でなんと26%減少している。

4分の1以上減ったことになる。

他の港でも同様な数値が見られた。



労使交渉の当事者であるPMA,ILWUともに、この対応に追われることとなる。




西海岸労使交渉



2002年の労使交渉では、双方とも大きな痛手を受け、同時に復旧に多大な時間がかかった。


其の教訓がいきていたのか、2008年の労使交渉は若干の鍔迫り合いはあったが、比較的に
スムースに交渉が進んだ。


其の背景には中国の発展に伴う、貨物の増加、コンテナの増加です。

経営者側もコンテナが増えることで経営が安定する。

組合側にとっても、コンテナ増加を理由に待遇の改善と組合員の補充要求ができる。


双方にとって、非常に有効な関係が構築できた6年であった。

交渉は若干の修正もあったが、概ね双方の合意が得られ6年後の2014年までの
契約が結ばれた。2008年9月のことである。

喜色満面の労使双方の幹部の中に、誰がこのあと、あの衝撃的な事件が起きることを
予想できたであろうか。


このとし、2008年11月米国の証券大手リーマン・ブラザーズが経営破綻、株価は一気に下落した。

リーマン・ショックである。


株価の下落は資産の減少を生み、購買意欲を一気に削ぐ。

企業も保守的になり、経済が停滞をはじめる。

大量購入、大量消費の国、アメリカの消費熱がいっぺんに冷めたときだ。


ものが売れない時代がはじまった。

 




US FRONTLINE

米国の日系社会向けの発行されているUS FRONTLINのウエブ版に

SHIPFANの記事が掲載された。


興味のある方は下記より

http://usfl.com/2018/04/post/116303


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西海岸労使交渉


2002年の労使交渉はロックアウト後も継続して協議が持たれたが、双方の意見が合わず、
最終的にはある程度の妥協をして締結した。妥協とはいえ、かなり、組合有利な条件であることは
否めない。

協定の有効期間は6年。次の交渉は2008年である。

協定締結を待っていたかのようにアジアからの貨物は増え始め、2002年以降、毎年
右肩上がりで取り扱いが増加。

パナマ運河も拡張前であり、スエズ運河も、まだ認知度が低いことで東海岸向けの貨物は
西海岸経由に依存するしかなかった。

西海岸、特にロサンゼルス、ロングビーチ港の取り扱いは増加の一途をたどる。
ターミナルも増加するコンテナに対応すべく敷地を拡張するなどの対応をしたが、
追いつかず、コンテナの引取をまつトラックが長蛇の列をつくるようになっていく。

船社、ターミナル、港湾局が、トラック協会が何度も協議の場をもち、
改善策を模索。オンドックレールを増やすことで内陸への輸送を迅速にする。ターミナルを拡張する。
様々な試みがなされた。

こうした中、いつしかターミナルを自動化して効率を上げていこうという機運が高まっていく。
両港のコンテナ取り扱いがピークに達した2007年、翌2008年の労使協定が期限を迎えることを
受け、労使双方が協議をスタートする。

2002年で双方が大きな痛手をうけたこともあり、協議は大きな衝突もなく進められた。
このときにターミナルの効率的な運用の一貫として初めて自動化が論議される。

経営側は作業の効率化を目指し、組合側は組合員の作業負担の軽減を目指し、自動化の有効性を
論議していく。

こうして、西海岸の労使交渉の席上、自動化が議題として取り上げられ、具体的な
方法論が話し合われた。しかしこの段階では、具体的なイメージを提示できず、次回の交渉までに
双方が考えをまとめるということで終わる。

ただ、双方が自動化を受け入れたことで、次の交渉が大きな障害となり長期の交渉を余儀なくされると想像できたものはいなかった。